jump to navigation

棚から1冊~『寒い国から帰ってきたスパイ』 2012/01/26

Posted by Master in From my bookshelf..
trackback

image

『寒い国から帰ってきたスパイ』
ジョン・ル・カレ 著
宇野利泰 訳
早川書房

数年前に読み始めたものの、完読しないまま放っておいた一冊。
スパイ小説ということで、ライアルの『深夜プラス1』風のスリリングなアクションを期待していたのに、あまりにも緻密な心理描写がまだるっこしくなって、数十ページを読んだところでリタイアしてしまっていました。

リターン・マッチとなる今回はほぼ一気に読了し、これを途中棄権するとはなんと根性なしなんだ俺は!と、己を叱咤したほどの面白さでした(いや、本当に)。

序盤こそ登場人物の相関や背景を追うことで頭を使いますが、大まかなところを飲み込んでしまえば、その後はグイグイと読み進んでいけます。

読者が食い付いたのを見計らったかのように、中盤からはストーリーが二転三転し、シフトのアップダウンが激しくなります。
主人公はじめ登場人物たちは、自分の意思で動いているのか、或いは何者かに操られているのか、読者共々翻弄されます。
「昨日の敵は今日の友、今日の友は明日の敵」というような、裏切りや懐柔、狙いの見えない命懸けのゲームが繰り広げられるのです。

そして終盤に及んで思いもよらない真実が明らかになり、それでどうなる?と、ページを繰る手が速くなっていったところで、鮮烈なエンディングを迎えます。
思わずウームと唸りましたね。

己の行動規範に忠実に生きることの困難さ、非情に徹して任務を全うしようとする男が垣間見せる人間味。
実にハードボイルドな生きざまを描きつつも、愛と安らぎに飢えた中年男の哀しみがひしひしと感じられる傑作と言えるでしょう。

先日ご逝去された内藤陳氏の言葉を借りるならば、まさに「読まずに死ねるか!」ものの極上エンターテインメント作品です。

私的評価=★★★★☆

広告

コメント»

No comments yet — be the first.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。