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棚から1冊~『私自身の見えない徴』 2012/03/04

Posted by Master in From my bookshelf..
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『私自身の見えない徴(しるし)』
エイミー・ベンダー 著
菅啓次郎 訳
角川書店

エイミー・ベンダーの著書は、以前『燃えるスカートの少女』という短編集を採りあげたことがあります。
奇抜な発想と生々しい言葉遣いが印象的な、ちょっとダークな幻想作品でした。
本書は彼女の初めての長編小説。

主人公のモナは身の回りの数字に意味を見いだしたがり、気持ちが動揺すると手近の木をノックする習慣が止められない女性。
石鹸を食べてみたり、自分の二十歳の誕生日に斧を買ったりする、ちょっと…いや、かなり?エキセントリックな面を持っています。
成長して数学教師となったモナは赴任先の小学校で、自分以上に様々に風変わりで純粋な子供たちと関わりを持ちます。
彼女を慕う生徒もできてきたある日、とんでもない事件が起こり、モナとモナを取り巻く人々の間に変化が生まれ始めることになったのですが…。

ページの途中で「キモい」と投げてしまう人がいてもおかしくないし、全く理解不能のメンヘラ小説と呆れる人もいるでしょう。
かく言う自分も「なんなんだ、これは」というのがベンダーの作品に触れての第一印象でした。
でもこれはクセになる!
この幻想的な独自の世界は、例えばブローティガンの一連の作品にも通じるのではないかと思います。
ハマるか嫌悪するか、読書子を二分する作家と言えます。

モナも周囲の人たちや子供たちに対して、時に理解と共感を示し、時にあからさまな嫌悪や攻撃を見せます。
エキセントリックではあっても、とても人間的な心の振れ方があるから、そこを共有できるかどうかが好き嫌いの分岐点なのでしょう。

モナと、両親、隣人、友人、同僚、生徒、保護者たちとの関係の微妙さが、読んでいてスリリングに面白かった作品でした。

私的評価=★★★☆

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