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棚から1冊~『華麗なるギャツビー』 2012/10/18

Posted by Master in From my bookshelf..
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『華麗なるギャツビー』 The Great Gatsby
F・スコット・フィツジェラルド 著
大貫三郎 訳
角川書店

『ライ麦畑でつかまえて』や『ティファニーで朝食を』などと並ぶ、アメリカン・イノセント小説(そんなジャンルあるのか?笑)の代表作のひとつ。
いつか読もうと思いながらなぜか機会がなく、最近になってようやく読みました。

第一次世界大戦が終わった1920年代初頭、アメリカ中西部出身のニック・キャラウェイは故郷を離れ、仕事を求めて東海岸のロング・アイランドへ移り住んできた。
隣家では毎夜のように老若男女が集うパーティーが開かれており、主であるジェイ・ギャツビーなる人物は謎に満ちた男で、ニックは彼と付き合ううちにギャツビーの知られざる顔と対峙し、自らの生き方に大きな影響を受ける…。

「イノセント(無垢)」と言えば「イノセント」なのだろうな。
語り手であるニックは心にまだまだ多感な部分を残し、自分自身に忠実であろうとする面と、世間で言われる常識(と言っていいのか)に迎合しなければと考える面との狭間で揺れ動きながら、社会の中に自分の居場所を見つけようとしています。
一方、主人公たるギャツビーは暗い過去を内に秘め新たな自分を創造しながらも、心の奥底では虚像に隠れた自分を理解してくれる誰かを求めて、華やかなパーティーの毎日を虚しく浪費しています。
ある意味常識的であろうとする男ニックは、享楽的なギャツビーの生活に驚き呆れながらも、彼の危うい生き方が自分の日常と心に入り込んでくるのを拒絶しきれないでいる。
それは常識的であろうとする自分が自分とは正反対の生活を送っているギャツビーに少なからず嫉妬しているから。
ギャツビーはギャツビーで、ニックの中に凝縮された「世間」を見、己の行動をコントロールするのに手を焼いている自分の感情を映す鏡としているように思える。
このあたりの両者の心の凸凹が噛み合うようで噛み合わない、無地のジグソーパズルに取り組んでいるような感覚がとてもスリリングに描かれています。
重要人物となるギャツビーのかつての恋人も含めて、登場人物たち(決して多くはない)がギャツビーという男を中心に生き生きと動き回るさまも魅力的。

「自分だったら…」というような感情移入をする余地はあまりなかったけれど、こんな風に心が揺れる時期ってあるよなぁ…と「イノセント」な自分を思い出させてくれる良書でした。

私的評価=★★★★

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コメント»

1. まりー - 2012/10/19

大好物でし!!!
ギャッツビーが過去をでっちあげるというか・・・なんか、全てが不確かな中、
愛さえもねぇ・・・・みたいな読後感がすごかった作品でし。
フィッツジェラルドのなかで、異色の作品だとおもっていたら、
「アメリカン・イノセント」といえば、たしかに・・・・・。
当時は(少なくとも20年前は)そんなくくりなかったでしがね・・・。

フィッツジェラルドとスタインベックがアメリカ文学では一番すきでし。
最近の人だと(死んじゃったけど)Raymond Carverでし。
Short Cuts は映画化されて、ミュージシャンのトム・ウェイツが出てたり、
地味に良い味出してた映画でし。

Master - 2012/10/20

>まりー嬢
作り上げた自分が破綻していくさまが鮮烈!
古い作品だからネタバレもくそもないけど、最後のプールのシーンに向かっていく終盤の緊張感はすごい。
自分的にレイモンドと言えばチャンドラーなんだけど、カーヴァーも探して読んでみます。

2. まりー - 2012/10/19

で・・・・読み返そうと思ったら、Gatsby以外手元にないの・・・・。

Amazonで買い直さなあかんかも。
姉のうちにみんな置いてきちゃったけれど、「売っていいよ」って・・・
夏に言ってきちゃったので・・・・。

そうだ、Fitzgerald belongs to “Lost Generation” in the American Literature.
ロスト・ジェネーレションって、習った気がするでし。


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