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『アナと雪の女王』鑑賞 2014/08/07

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『アナと雪の女王』 “Frozen” (2013 / U.S.A.)
監督:クリス・バック、ジェニファー・リー
脚本:ジェニファー・リー、シェーン・モリス
製作:ピーター・デル・ヴェッチョ、ジョン・ラセター
出演(日本語吹き替え):クリスティン・ベル(神田沙也加)、イディナ・メンゼル(松たか子)、ジョナサン・グロフ (原慎一郎)、サンティノ・フォンタナ(津田英佑)、ジョシュ・ギャッド(ピエール瀧)、他
鑑賞:劇場

ものすごい「何を今更」感ですね(笑)。
いや、実際に劇場に行ったのは6月だったでしょうか(公開が3月だったことを思えば、十分に「何を今更」か)。
劇場でアニメーション映画を観るのは2011年の『タンタンの冒険』以来!
とは言えあれはアニメーションとモーション・キャプチャーのミックスだったから、劇場で観る完全なアニメーション映画としては、1989年の『魔女の宅急便』以来何と四半世紀ぶり!!

登場キャラクターやストーリー、製作の背景などは、もう言わずもがなですので割愛します。
興収記録を塗り替えたとか、挿入歌が大ヒットしただとか、オスカーを獲ったなんてこともみんな割愛。
………さて、何を書けばいいんだろ?
あ、感想か(笑)。
反キリスト的だのレズビアン映画だの、いろいろと深読みする向きもあるようですが、勧善懲悪と人間愛を描いたファンタジーとして見れば、普通に満足できる作品だと思います。
そこに美しい映像とキャッチーな音楽が組み合わさるのですから、それはヒットして当然のことでしょう。
低年齢層の観客も想定されているので、ストーリー展開に大人のわがままを言ってもはじまらないし、斜に構えて腕組みして観るものでもないし。
吹き替えで観ましたが、特に違和感もなく楽しめました。
特筆するとしたらやはり、映像と音響かな。劇場で観てこそのアニメーション映画と言えます。
同時上映の『ミッキーのミニー救出大作戦』も面白かったです。

私的評価=★★★☆

『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』鑑賞 2014/03/21

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『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』KICK ASS 2 (2013/U.S.A)
監督:ジェフ・ワドロウ
脚本:ジェフ・ワドロウ
製作:マシュー・ヴォーン、アダム・ボーリング、タルキン・パック、デヴィッド・リード、ブラッド・ピット
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジム・キャリー、他
鑑賞:劇場

「いや、別に『ジャスティス・フォーエバー』なんて副題はいらないだろ」なんて、観る前から斜に構え気味でした。
前作からずいぶんと待たされ感があり、鑑賞前の期待値はかなり上昇していたのですが、うーん…。

やはり役者にとって「あの年齢・あの容姿だったからこそ」の当たり役というのはあるんだな、と言わずもがなの感慨にふけってしまった作品です。
誰のことを指しているのかと言えば、ご想像の通りクロエ・モレッツ。
彼女が演じるヒット・ガールは前作においてものすごいインパクトがあり、モレッツ人気が一夜にしてブレイクした感がありました。
ほどなくして続編の製作が明らかになったとき、「ヒット・ガールの雄姿がまた観られる!」と多くの映画ファンが思ったことでしょう。
その後彼女はいくつもの作品に出演し、ヒット・ガールとは別の顔を見せてくれ、女優としてのキャリアを積んでいきました。
特に『ヒューゴの不思議な発明』でのお姉さんキャラは、十代の少女だけが持つ大人びた表情と存在感を上手に見せていたと思います。
そして今思えばそのときすでに、もう「あの」ヒット・ガールは見られないんだな、とわかってしまっていた気がします。

父親を亡くし、高校生になり、いじめにあい、恋愛沙汰があり…ありがちな高校生ライフを送るミンディ(モレッツ)に「もう一度正義のために戦おう!」としつこく勧誘するデイヴ(ジョンソン)。
スターズ・アンド・ストライプス大佐(キャリー)と彼が率いるヒーロー集団「ジャスティス・フォーエバー」に出会って、正義のヒーロー、キック・アスにアイデンティティを見つけたデイヴに対して、ヒット・ガール封印を言い渡され自分自身を見つけられなくなっているミンディ。
このあたり、お互いに「まだ子供(高校生)」という設定が、大人の自分探し程の自由度や選択肢がない分、きゅうくつで類型的な展開になってしまっているように思えました。
それ故かストーリーは、ある意味脳天気にしか見えない(大人になろうとしない)デイヴにとんでもない試練を与えます。
まぁ刺激的と言えば刺激的なんだけど、リアルに傾きそうな青春ドラマをコミック原作らしい「ありえない」展開へといささか強引に持って行った感じ。
前作で悪役だったレッド・ミストことクリス(プラッセ)は、今回パワーアップしてマザーファッカー(ストレート過ぎ!)を名乗り、TOXIC MEGACUNTSなる和訳するのもはばかられる悪者チームを率いてキック・アスたちと対決します。
どちらのチームもそれなりにクセのあるキャラクターを揃えているのですが、いまひとつピンとこない。
つくづくキック・アスとヒット・ガールにおんぶに抱っこだな、と(主役だからそれでいいんだけど)。
その試練以降、キック・アスとヒット・ガールは再び共闘し、JFの仲間たちと結束してTMと対決する、と進んでいきます。
善悪がはっきりしているので、後半の見どころはアクション・シーンとなりますが、ジョーン・ジェットの”Bad Reputation”が流れた時には「おっ!」と身を乗り出しかけたものの、残念ながら前作のような爽快感は希薄でした。

期待値が高かった分、評価が低くなるのは人情。
そりゃ、アーロン君もクロエちゃんも頑張ってる。
でも、マッチョになったデイヴや、お化粧がさまになったミンディには、かつての魅力は感じられませんでした。
続編が出ることで初回作の評価が上がるという、皮肉なパターンになってしまった作品、という感想です。

私的評価=★★★+

『MOTOHARU SANO Film No Damage』鑑賞 2013/09/21

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『MOTOHARU SANO Film No Damage』 (2013 / 日本)
監督:井出情児
出演:佐野元春、他
鑑賞:劇場

1983年に公開された後、所在不明になっていたオリジナル・フィルムをリマスターして再映の運びとなった、佐野元春27歳当時のドキュメンタリー作品。
約一年間の渡米生活を前にしての「国内最後のライブ」の様子がメインになっていて、そこここにバックステージ風景や演出された別撮りのシークエンスが挟み込まれています。

使用されている曲は当時発表されていた3枚のアルバムの曲が中心で、目新しいものやレアなものはありません。
強いて言えば”グッドバイからはじめよう”のPVのメイキングと、ライブの定番だった”デトロイト・メドレー”の一部が見られるのは貴重かな。
何しろ今までソフト化されたことがないので、ファンにとっては全編が貴重と言えば貴重なのですが、最近ではYouTubeなどで一部は視聴できたりしますものね。
オープニングに繰り広げられる”悲しきRADIO”から、テンションの登り詰めた佐野とハートランドの熱気が押し寄せてきて、気分はあっという間に30年前にフラッシュバックしてしまいます。
“アンジェリーナ”も”SOMEDAY”もない、どちらかと言えばストイックな選曲。
でも”ハート・ビート”と”ロックンロール・ナイト”、2曲の壮大なストリート・ライフ・シンフォニーでのパフォーマンスは、近年の円熟したものとは違って、より等身大の「そこに身を置く自分自身」が投影されたものに感じました。

そしてピアノを前にして歌われる”ガラスのジェネレーション”!
「つまらないオトナにはなりたくない」
この歌詞を初めて聴いたのが19歳だったせいか、二十歳という「オトナになる年齢」を前にして深く深く共感した頃の胸の思いが、30年の時間差を飛び越えて再び深く胸に突き刺さりました。
「俺はつまらないオトナになってしまったのだろうか?」
この歌を聴くたびにうすうす自問自答していたものでしたが、このフィルムを観た後もまだ答えは出ません。
大人になりきれていないと言えばそれまで。
「つまらないオトナにはなりたくない」という思いはこれからもずっと持ち続けながら生きていくのだろうな。

各シーンの構成や繋ぎがギクシャクしていたり、スクリーンサイズに合わせた画面比に調整されていなかったりという疑問はあったものの、全体には充分楽しめた作品でした。
私的評価=★★★☆+

※30年前、このフィルムが撮影された「ロックンロール・ナイト・ツアー」のチケット。
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『ホワイトハウス・ダウン』鑑賞 2013/08/21

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『ホワイトハウス・ダウン』
White House Down (2013/U.S.A.)
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
製作:ローランド・エメリッヒ、ブラッド・フィッシャー、ラリー・J・フランコ、レータ・カログリディス、ハラルド・クローサー、ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、マギー・ジレンホール、ジェイソン・クラーク、リチャード・ジェンキンス、ジョーイ・キング、他
鑑賞:劇場

『少年H』では「劇場で映画を観る!」というカタルシスを味わうことができなかったので、今度はいっちょ派手めのアクション映画でも観てみっか!と選んだのが『ホワイトハウス・ダウン』。

お話は、アメリカ大統領の護衛官試験に落ちた警官ジョン(テイタム)が、愛娘エミリー(キング)と共に参加したホワイトハウス見学ツアーでテロ(クーデターの様相あり)に巻き込まれ、犯人グループによって占拠されたホワイトハウス内から、行き掛かり上単身でソイヤー大統領(フォックス)と娘の救出にあたるというもの。
このあたり『ダイ・ハード』的と言うか『エア・フォース・ワン』風味と言うか、まあそういう感じで進みます。

主役を演じるテイタムは『GIジョー』シリーズなどに出演経験を持つ俳優で、そこそこ愛国者っぷりをかもし出していて好印象。
大統領役のフォックスは『レイ』でレイ・チャールズを演じてオスカーを獲った実力派ですが、個人的には『路上のソリスト』でのホームレス・ミュージシャン姿がより印象に残っています(音楽映画ファンには『ドリーム・ガールズ』でのプロデューサー役と言えば頷くでしょうか)。
アフリカ系アメリカ人の大統領ということで現オバマ大統領をモデルとしてのキャスティング、これがまたけっこう愛嬌がありつつも芯の強さを発揮しており、はまり役と言っていいと思います。だって、ウィル・スミスでは軽すぎるし、サミュエル・L・ジャクソンでは老け過ぎだしね。
対する敵役ステンツを演じたクラークはいかにもな小憎らしさでしたが、とてもホワイトハウス占拠を企てるような過激な悪人には役不足の感が否めません。
女優陣はというと、特別警護官キャロル役のジレンホール(注:「ギレンホール」は誤表記との見解に基づいて書いています)、『クレイジー・ハート』での母性本能あらわな役柄とは趣の異なる「できる女上司」の雰囲気が新鮮でした。
そして忘れちゃいけない、エミリーを演じたジョーイ・キング。
エミリーは片時もスマートフォンを手放さずネットに没頭することもしばしばな今どきの女の子で、仕事にかまけている割にはパッとしない親父が最近ちょっとうざくなってきている。校内の演劇ではちんけな役しかもらえなかったけど、それにしたって娘の姿を見に来てくれたっていいじゃん!という設定。
で、この設定があとあと大きく活きてくる筋書きで、これはクライマックスのネタバレに繋がってしまうのでここでは以下自粛。
出演者の印象度で言えば、この子が一番なのではないでしょうか。

そんなわけで、ストーリーはわかり易く、「これ誰だっけ?」とか、「あの件はどうなった?」とか、不必要に頭を悩ますことなく画面に向き合っていられます。
派手さも期待を裏切らず、ホワイトハウスは炎上するわ、旅客機はミサイルを打ち込まれるわ、戦車は破壊されるわ、リムジンは吹っ飛ばされるわ、戦闘ヘリは撃墜されるわ、機関銃は雨あられだわ、スプリンクラーは作動するわ(笑)、これだけ壊しまくられるともう笑ってしまいます。
あ、スプリンクラーと言えば、あれって火の気も煙もなく高温にもなっていないのに連鎖的に作動するものなのでしょうか?と、ちょっと疑問に思ったシーンがありました。
予定調和なアメリカ万歳映画と言ってしまえばそれまでですが、少なくとも劇場で観るエンターテインメントとしては合格点だと思います。

私的評価=★★★☆

『少年H』鑑賞 2013/08/20

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監督:降旗康男
脚本:古沢良太
製作:平城隆司、市川南、水谷晴夫、小林昭夫、山本晋也、井川幸広、岩本孝一、樋泉実、笹栗哲朗、町田智子、高士薫、入江祥雄、宮本直人
出演:吉岡竜輝、花田優里音、小栗旬、佐々木蔵之介、伊藤蘭、水谷豊、他
鑑賞:劇場

劇場で邦画を観るなんてことは数年に一度くらいでしょうか。
確か前回は『ヴィヨンの妻』だったかな?
そんなわけで今回、なぜこの作品を観に劇場へ足を運んだかと言うと、原作となった妹尾河童氏の小説を面白く読んだ記憶があったからです。
小説そのものは時代考証などの点で賛否両論ありましたが、個人的にはドキュメンタリー要素よりもエンターテインメント性を重視して読んだので、楽しければOKというスタンスでした(細かいことは気にしない~)。
でまぁ、今回の映画化ですが、ストーリーの詳細は忘れている部分が多いので、原作と比較して云々のコメントはできません。
単純に映画としての感想に留まりますのでご容赦ください。

昭和初期、神戸で洋服屋を営む妹尾家の長男に生まれた肇(吉岡)は父母(水谷、伊藤)と妹(花田)と共に、明るい少年時代を過ごしていた。
しかし妹尾家を取り巻く日本は太平洋戦争へと進んで行き、隣人が出征したり、学校で軍事教練が始まったり、また周囲に赤狩りの手が伸びてきたりと、時代の変化は確実に肇少年の生活にも影を落とし始めていった。
映画はそんな時代背景の中で、無垢な子供ならではの疑問に翻弄される肇と妹尾家の暮らしぶりの移り変わりが、終戦のときまでを通して描かれています。

感想を一言で言えば、これはとある家族の戦時日記以上でも以下でもないな、という感じ。
いやもちろん、ミニマムな単位としての家族を通して見た戦争と社会批判みたいなものを描きたかったのかなという気もします。
しかし、これは当時の国民の大多数意見というわけではなく、あくまでも「妹尾家にとっての戦争」を描いたもので、右傾化だの反戦だのと拡大解釈してしまったら、それはちょっと違うんじゃないか?と思います。
主人公のHこと肇を演じた吉岡は好奇心いっぱいの少年を上手くこなしていましたが、成長著しい年代の男子を一人で演じるのは若干苦しいのではないかと思いました。
肇の父母を演じた水谷・伊藤夫妻はこの作品のキャストの目玉になっており、実際に息のあった夫婦ぶりで安心して観ていられました。
当局の赤狩りにあううどん屋の兄ちゃん役の小栗は風貌が現代風過ぎやしないか?、原田泰造演じる田森教官は終戦後の変貌ぶりが極端過ぎやしないか?など、気になる演出がいくつかあったのと、登場人物の背景や行く末が説明しきれていないのがこれまた気になりました。

焼夷弾の空襲に逃げまどうシーンは大スクリーンならではの迫力でしたが、キャストと演出のせいか、わざわざ劇場に足を運ばなくても・・・と思ってしまいました。
良くも悪くも「終戦記念特番・二時間ドラマ」の範疇を出なかったな、というのが率直な感想の一本でした。

私的評価=★★★+

『ローマでアモーレ』鑑賞 2013/07/19

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『ローマでアモーレ』 To Rome With Love (2012 / Spain, Italy, U.S.A.)
監督:ウッディ・アレン
脚本:ウッディ・アレン
製作:レッティ・アロンソン、スティーブン・テネンバウム、ジャンパオロ・レッタ、ファルック・アラトン
出演:ウッディ・アレン、ロベルト・ベニーニ、アレック・ボールドウィン、ペネロペ・クルス、ジュディ・デイヴィス、他
鑑賞:劇場

様々な事情と境遇の4組のカップルの騒動(?)を、ローマの街を舞台に描いた群像劇。
☆アメリカ人女性とイタリア人弁護士のカップルと、それぞれの父親が繰り広げるオペラがネタのお話。
☆田舎からローマに出てきた新婚カップルが、偶然出会ったコールガールと俳優に振り回されるドタバタ劇。
☆二人の建築家が奔放な女優にいいようにあしらわれる、男の哀しい性(苦笑)を描いたお話。
☆ある日突然有名人に祭り上げられた冴えない中年男の、つかの間の栄華の顛末。

ウッディ・アレンならではのコメディに仕上がっていてそれなりに楽しめた『人生万歳!』、巧みなシチュエーションとケレン味たっぷりの演出で魅力的だった『ミッドナイト・イン・パリ』と、好作品が続いていたアレン監督だけに期待があり、キャストも手堅い感じだったので劇場に足を運びました。
しかし正直言って、かなりとっ散らかった作りで、それぞれのエピソードも出来不出来の差があって、途中居眠りを禁じ得ませんでした。
一番まとまっていたのはアレン自身も出演していたオペラの話かな。シャワーを浴びている時だけは上手く歌えるオペラ歌手(ファビオ・アルミリアート)が面白くてこれは笑えた。
クルスのコールガール役ははまり役といえばそれまでですが、このままただのセックス・シンボル的なポジションに落ち着いてしまうのかなと、少々心配になりました。
建築家を演じたボールドウィン、にわか有名人を演じたベニーニ、二人のおじさんは可もなく不可もなく…。

これは映画として劇場で観るべき作品とは言い難いでしょう。
ローマ、ローマと言うわりにチープな感じがしましたし、あらためて当たり外れのある監督だなとの印象が残った一本でした。
まぁ、オムニバス形式で全てのエピソードが面白いというのは稀ですけれども。
ファーストデイ料金でよかった(笑)。

私的評価=★★★+
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『オブリビオン』鑑賞 2013/06/01

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『オブリビオン』 Oblivion (2013 / U.S.A., Russia)
監督:ジョセフ・コシンスキー
脚本:ジョセフ・コシンスキー、カール・ガイダシェク、マイケル・アーント
製作:ジョセフ・コシンスキー、ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク、バリー・レヴィン、ダンカン・ヘンダーソン
出演:トム・クルーズ、オルガ・キュリレンコ、アンドレア・ライズボロー、モーガン・フリーマン、メリッサ・レオ、ニコライ・コスター=ワルドー、他
鑑賞:劇場

時は2077年。
60年前に「スカヴ」という異星人の襲撃を受け壊滅した地球。もはや誰も住むことのない地球で、ジャック(クルーズ)は同僚のヴィクトリア(ライズボロー)と二人、人類の移住先タイタンへの帰還を拠り所に監視業務にあたっていた。
ある日、ジャックはパトロール中に宇宙船の墜落に遭遇し、宇宙船の中から女性飛行士ジュリア(キュリレンコ)を救出する。二人は会ったことがないはずなのにジュリアはジャックの名前を呼ぶ。
奇妙に思うまもなく二人は何者かに拉致され、連行先で人類の生き残りにしてスカヴと戦う集団を率いる男ビーチ(フリーマン)と出会い、彼から思いもよらぬ「真実」を告げられ、ジャックは地球と人類の運命を左右する戦いに身を投じることになってゆく・・・。

※※※※※

というようなあらすじの作品と聞き、なんとも魅力的に感じて劇場に足を運びました。
元来SFは大好きだし、それなりのスケールを感じさせてくれるだろうとの期待がありましたが、うーん・・・これはどうも物足りない。
上記以降のストーリーは紹介するとそのままネタバレになってしまうので、差し控えざるを得ません。
おおまかな設定は魅力的だったのですが、組み込まれた設定やギミック、映像など「どこかで見たことあるぞ」的なものが散見され、展開がうすうす読めたり、王道といえば聞こえはいいもののオマージュの寄せ集めの感が残りました。

序盤はゆるい感じで進み、SF的なガジェットやメカに気をとられつつストーリーを追い、中盤になるとよくわからない恋愛要素が顔を出し「なんだかなぁ」と思い始め、終盤になって急加速する展開に慌てて座り直すも「あらあら、そうなるわけね」で終わってしまいました。
主演のクルーズはいまひとつ人間味に欠ける感じで(まぁ役柄の設定上・・・おっと、失言)、彼ならではのセンシティブな味わいが希薄だったのが残念。
ライズボローは後半の役どころがぐずぐずになってしまって、これまた残念であったし、ヒロインのキュリレンコでさえもおとなしめで見せ場に欠けた印象です。
あと、フリーマンの存在感をもっとアピールして欲しかった。重要なキャラクターにもかかわらず、彼がサバイバル・チームを率いるようになった背景や人となりの説明がなかったので、どうにも中途半端なままラストまでいってしまいました。

映像は素晴らしかったです。
未来的な無機質な部分と荒廃した地球との対比で見せるスタイリッシュさは特筆しておきます。
ジャックが操るパトロール機の造形はかなりカッコよかったし。
音響もサラウンド効果が効いており、終始低音にさらされている感じは嫌いではありませんので好感が持てました。
挿入曲としてZEPやプロコル・ハルムが使われてまして、これまた嫌いではないけれど必然性は感じられなかったな。
手放しで「面白かった!」とは言い難いものの、総合的にはまずまず楽しめた作品でした。

私的評価=★★★☆

『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』鑑賞 2013/04/23

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『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』
Herb & Dorothy 50×50 (2012 / U.S.A.)
監督:佐々木芽生
脚本:佐々木芽生
製作:佐々木芽生
出演:ハーバート・ヴォーゲル、ドロシー・ヴォーゲル、ポーラ・アンテビ、リサ・ブラッドリー、クリスト&ジャンヌ=クロード、他
鑑賞:劇場

NY・マンハッタンに暮らすハーブとドロシーのヴォーゲル夫妻は、類まれな審美眼を持つ現代美術ファンにして収集家。
自分たちの収入に見合った価格で、二人が住む小さなアパートメントに収まる大きさの作品に限る、という条件の下で数十年かけて集めた作品の数は約4,000点。
積年のうちに二人のもとに集まった「ヴォーゲル・コレクション」は、今や世界中から貸し出し依頼が来るほどの美術界きっての貴重な財産となりました。
しかし彼らは多くの作品を手元に置いておくだけに留めず、全米50州の50箇所の美術館にそれぞれ50点ずつ、合計2,500点の作品を寄贈することに決めます。
本作は二人とアーティストたちとのかかわり、寄贈に奔走する姿、そしてアートとそれを観る人々などを織り込みながら、時の流れの中で自分たちの価値観で芸術を愛するハーブとドロシーのお互いへの思いやりに溢れた日常が描かれます。

前作同様にクリスト、リサ・ブラッドリー、マーク・コスタビ、ロバート・バリー、チャック・クロースなど、現代アートの第一人者が夫妻への思いや作品についてコメントしたりしており、なかなかに興味深く観られました。
日本ではあまり馴染みのないアーティストがほとんどですので、「???」と思う反面、未知のアーティストに出会う楽しみもあると言えます。
上に挙げた中では、橋やら島やらを「梱包」してしまうランド・アートのクリスト&ジャンヌ=クロードとか、のっぺらぼうの人物画が印象的なマーク・コスタビあたりが有名どころになりますでしょうか。

過剰な演出や波乱に満ちた展開とは無縁の、それでいて動的なパワーを感じるドキュメンタリーです。
最後に描かれるエピソードはちょっとセンチメンタルな気分になりますが、夫妻の間の愛情と人生に対する充実感が伝わってきました。
アートと猫と人間、そして人生を愛する人に。

私的評価=★★★☆+

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『トゥルー・グリット』鑑賞 2013/01/22

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『トゥルー・グリット』 True Grit (2010 / U.S.A.)
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作:スコット・ルーディン、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ヘイリー・スタインフェルド、ジョシュ・ブローリン、他
鑑賞:DVD

父親を殺された少女が復讐を決意し、自らが選んだ追跡のプロフェッショナルと共に仇敵を追う。
1969年にジョン・ウェイン主演で製作された『勇気ある追跡』のリメイク。

14歳の少女マティ(スタインフェルド)は、父親を殺した男チェイニー(ブローリン)を探し出し罪の裁きを受けさせようと、辺境の町に単身やってきた。
気丈な彼女は町の大人たちと対等に渡り合い、隻眼の保安官コグバーン(ブリッジス)にチェイニーの捜索を依頼する。
始めはマティに取り合わなかったコグバーンだったが、依頼料と熱意にほだされて、マティとは別件でチェイニーを追ってきたレンジャーのラビーフ(デイモン)と共に追跡行を開始した。
男二人でチェイニーを探し出すつもりで、足手まといになりそうなマティを町に残してきたものの、マティは馬を駆って二人に追いつき、三人連れとなって本格的なチェイニー捜索が始まったのだった。
窃盗団と合流し単身ではなくなったチェイニーを追い、彼らは荒涼としたネイティブ・アメリカン居留地へと馬を進めていく。
三人はチェイニーを発見することができるのだろうか?
三者三様の思惑と人間関係の行方は?
そして、マティは父親の復讐を遂げることができるのか?

ストーリーは絵に描いたような西部劇ですね。
オリジナルの『勇気ある追跡』はテレビで視た気がするようなしないような。
似たようなタイトルのジョン・ウェイン作品『捜索者』(ジョン・フォード監督の傑作!)は視たので、タイトルのイメージがごっちゃになっているのかもしれません。
ま、いいや。

西部劇というか、映画に限らずウェスタンものが好きで、2009年の『クレイジー・ハート』で存在感を見直したジェフ・ブリッジス主演ということもあり、公開前からぜひ観たいと思っていました。
しかしどうしたことか、観よう観ようと思っているうちに公開終了してしまい、それでも観たい気持ちには変わりなかったのでDVDを購入して鑑賞しました。
お話はマティの視点で構成されており、プロローグとエピローグにマティの独白シーンがあることで、それが強調されています。
西部劇というと、男の世界を描くものが多く、実際男性向けの作品がほとんどだと思いますが、マティの物語であることをアピールしたことがヒットに結びついた一因と言えるでしょう。
ただ、追跡行という冒険要素や復讐劇としてのドラマティックな展開はあっさりしており、必ずしも起伏に富んだストーリーとは言い難いです。
そこを退屈させないように、工夫されているのが主要人物たちのキャラクター。
年齢以上に大人びた言動ながら少女っぽい面も見せるマティ。
隻眼に髭をたくわえた、直情型で酒飲みの保安官コグバーン。
冷静沈着だが少々頭が固いテキサス・レンジャーのラビーフ。
わかりやすいキャラクター設定なので、やり取りや人間関係の変化も把握しやすいです。
最後まで適度な緊張感が三者の間にあるのがいいのでしょうね。
マティ役のスタインフェルドはこの作品で数多くの助演女優賞を受賞したようで、確かに印象に残る演技でした。
ブリッジスは『クレイジー・ハート』のバッド・ブレイクと同様にまたもや飲んだくれオヤジ役。はまってます(笑)。
デイモンは役柄が広いですね。ここでも幾分三枚目的要素のある役をそつなく演じています。

広大な自然やアクション・シーンなど、やっぱり劇場のスクリーンで観たかったなぁ。
でも、期待を裏切らない面白さで楽しめました。

私的評価=★★★☆+

今さら2012年を振り返る 2013/01/15

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備忘録的に。

※映画※
ベスト: 『ヒューゴの不思議な発明』★★★★☆
2nd: 『ミッドナイト・イン・パリ』★★★★
残念賞: 『TIME』★★★

※音楽※
ベスト: “WRECKING BALL” ブルース・スプリングスティーン ★★★★
2nd: “WHICH SIDE ARE YOU ON?” アーニー・ディフランコ ★★★☆
残念賞: “[(an imitation) blood orange]” Mr.Children ★★☆

※書籍※
新刊はほとんど買わないので該当なし。
初めて読んだ作家では小路幸也氏がベスト。

※美術※
ベスト: 蕭白ショック!(千葉市美術館)★★★★★
2nd: 生誕100年 ジャクソン・ポロック展(東京国立近代美術館)★★★★★
残念賞: 該当なし

ちなみに書棚を振り返ると…

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…見なかったことにしよう!