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『SUPER FOLK SONG ~ピアノが愛した女~』 2017/01/07

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矢野顕子さんが1992年に発表した”SUPER FOLK SONG”というアルバムのレコーディング風景を捉えたドキュメンタリー・フィルム。

制作当時に公開されたフィルムがリマスターされて、期間限定で再公開されると聞き、前売り券を押さえた上で、公開初日に新宿まで観に行って来ました。

矢野さんが愛する歌の数々を、ピアノの弾き語りで、しかも編集無しの一発録りで作品化するという、聞くだに恐ろしい挑戦をしたアルバムが”SUPER FOLK SONG”です。

収められているのはムーン・ライダース、大貫妙子、THE BOOM、佐野元春、ヤング・ラスカルズ、山下達郎らのカバーとパット・メセニー書き下ろしの新曲(当時)など全13曲。

アルバムを聴いた時には録音風景には思いが及ばず、ただただ古今の名曲の矢野顕子流解釈に感心しきりでした。しかし今回、その録音風景を目の当たりにして、彼女の音楽への真摯な愛情ゆえの厳しさを、衝撃的に見せつけられました。

完成してリスナーに提示される音源だけを聴けば、ああ矢野顕子楽しそうに歌ってるなぁ、という印象ですが、レコーディングの現場は産みの苦しみと言うか、一発録音にかける緊張感というものが、観ているこちらが息苦しくなるくらいに迫ってきます。思うような歌い回しができない、ピアノのミスタッチ、自らを追い込むプレッシャー、こんな風に苛立ち、苦悶する矢野顕子を見たのは初めてです。

もちろん、カメラは苦しみの表情だけを写し取るだけではなく、会心のテイクが録れた瞬間の輝くような笑みも見せてくれます。息を呑んでスクリーンを見つめていたこちらも、彼女が”I got it!”と声をあげると共にフーッと息をつく感じで、まるでレコーディング現場に同席しているような臨場感でした。

事前に”SUPER FOLK SONG”を聴いているととても興味深く鑑賞できますが、矢野顕子ファンでないとちょっと退屈してしまうかもしれません。

2016年、今年もありがとう! 2016/12/24

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いろいろあった2016年もあと一週間。

相も変わらず音楽と猫と美術展に明け暮れた日々でした。

秋に肋骨を折ったのを除けば大きく体調を崩すことなく過ごせたこと、なによりでした。

Thank you for a good year!!

ジーン・シモンズのAXEベース 2016/11/01

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中途半端に照れがありますね(笑)。

KISS EXPO TOKYO 2016 2016/10/29

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東京の原宿ラフォーレミュージアムで『KISS EXPO TOKYO 2016』なるイベントかあり、往年のロック少年、いや現役のロックおじさんはいそいそと出掛けてきました。

「地獄の博覧会」とサブタイトルにあるように、KISSのデビュー当時からの衣装や楽器、グッズ、ゴールドディスク等がいろいろ展示されていました。

中でもポール・スタンレー手書きのポスターや、レコード会社との契約書など日頃目にすることのないお宝もあって、なかなか見応えがありました。

もっとも今回一番楽しみだったのは、メンバーが実際に使用した楽器に触れられるという体験。ジーンの斧ベースやポールのIbanezを抱えてドヤ顔で写真を撮っていただき、ロックおじさんはご満悦で帰ってきました。

楽しかった!

この半年間を振り返る 2016/07/16

Posted by Master in Art, Down on the corner., Music Book.
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今年も半年があっという間に過ぎました。
1月~6月までを振り返ってみると、結構あちこちに出かけていたんだなぁと思い出されます。
1月: 成田山初詣
2月: Madonna Rebel Heart Tour(さいたまスーパーアリーナ)、ボッティチェリ展(上野)、フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展(六本木)
3月: アニー・リーボヴィッツ展(東雲)、カラヴァッジョ展(上野)、俺たちの国芳 わたしの国貞展(渋谷)、佐野元春35周年コンサート(東京国際フォーラム)
4月: 若冲展(上野)
5月: ポンペイ壁画展(六本木)、ジム・マーシャル写真展(銀座)、ロバート・ウイテカー写真展(神宮前)
6月: ポンピドゥー・センター傑作展(上野)

今月は既に丸の内でジュリア・マーガレット・キャメロン展を鑑賞、月末は横浜の音楽イベントに遠征予定。
仕事のスケジュールがキツいので、夏場はお出かけをセーブしないとバテそうです。

Epiphone Inspired by 1964 Texan 2016/04/30

Posted by Master in Guitars.
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十代の頃に小遣いを貯めて買ったアリアプロIIのストラト(現在は人手に渡ってます)から始まった、ささやかなギター遍歴。これまでに購入した全てのギターを数えると9本になります。
もうさすがに欲しいギターもなくなってきて、楽器店に行っても購買欲をそそられることは滅多にありません。
唯一「いい出物があれば買いたいな」と思っていたのが、エピフォンのテキサン。オリジナル版は高価で手が出ませんが、1964年モデルを復刻した廉価なものならとアンテナを張っていたら、コンディション・価格共に「これなら!」という個体に出会いました。
10本目にして、おそらく最後の1本になると思います(たぶんね)。

アコギはここ数年Ovationだけでやってきたものの、使い込むほどに「やっぱり木の鳴りが欲しい」との思いが募って、一時はD-28でもと考えたりもしました。でも、さすがにそれは贅沢に過ぎると自戒して、次候補に挙げたのがこのテキサンというわけ。
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Ovationのジャラジャラした華やかな音に比べて、こちらは中低域が効いたふくよかさを感じさせる音。
SHADOW社製のピックアップが装備されていてエレアコとしても使用でき、早速アンプに繋いでみたところ、ちょっと出力が小さく感じましたが、素直に音を拾ってくれるという印象です。

また、ロングスケールなので使い勝手はどうかなと思いましたが、特に違和感なく押弦できます。
弦高やテンションも適当で、Ovationよりも弾き易いです。

テキサンと言えばポール・マッカートニーの愛機として有名で、ご他聞に漏れず、最初に弾いてみたのは”Yesterday”でした。
「あの音」は望むべくもありませんが、気分だけはポールになって、最近はこのギターばかり弾いています。

35th Anniversary 2016/04/20

Posted by Master in Music Book.
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佐野元春は最近のインタビューで「僕は古くからのファンのノスタルジーのために音楽を作るようなことはしない」と言い切っている。
メロディやリリックの端々に「あの佐野元春」を感じることはあっても、それはただの懐古ではなく、そこには必ずフレッシュな「今」が切り取られている。
だから今回の35周年ライブも、確かにキャリアを振り返る祝祭ムードのロックンロール・パーティーかもしれないけれど、あくまでも今現在の通過点でしかないという意識なのではあるまいか。
軽快な『シュガータイム』で幕を開けて客席を一気にハッピーな雰囲気にしておいて、次の曲に「あれから何もかも変わってしまった」と現実を突きつける『優しい闇』を持って来たところに佐野元春のただ者ではない懐を感じた。
しかしそこはエンターテイナーとしての彼のこと、以降3時間を超えるセットリストではこれまでの軌跡を俯瞰するかのような曲の数々が、客席を飽きさせることなくパーティー気分もおおいに結構!とばかりに披露されたのだった。
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『ジュジュ』『バルセロナの夜』『誰かが君のドアを叩いている』『ジャスミンガール』あたりはこれもやってくれるのか!という驚きがあったし、近年の作品の中では特にお気に入りの『ポーラスタア』や『世界は慈悲を待っている』が聴けたのは嬉しかった。
もちろん1980年代からのヒット曲も盛り沢山で、アルバム・オリエンテッドな新譜お披露目ライブにはない、初めてのお客さんを置いてきぼりにしないヒット・パレードの様相も欠くことはなかった。
まぁとにかくサービス精神旺盛な、これでもか!という内容に十二分に満足したことは間違いない。

振り返ると自分にとってのこの夜のハイライトは、28曲目に歌われた『ロックンロール・ナイト』だった。
「たどり着きたい」とシャウトする時、彼の心の中には「まだだ、目的地はここじゃない」という思いが沸き上がっているのかもしれない。
そしてその後の「ウォォォー!!」という咆哮は自らを鼓舞し、未来に向かってサヴァイヴしていく決意の叫びに聞こえた。
そりゃあ加齢による喉の衰えは否めないし、一発勝負のコンサートでは出来不出来もあるだろう。
そんなことは百も承知の彼は、それでもシャウトをやめない。
たどり着きたいと言うよりも、たどり着かねばならないから。
ポール・マッカートニーが70歳を越えてもオリジナル・キーで”Helter Skelter”を歌い続けるように、佐野元春はスポットライトに身を晒して、渾身の絶叫を絞り出す。
ロックンロールに魅入られた者が背負う、「業」のようなものに鳥肌が立った。

ダブル・アンコールのオーラス、ロックンロールへの愛を炸裂させた『悲しきレイディオ』、ギターを抱えてのパワー・スライディングを決めてみせた彼のカッコいいこと!
自分の席は1階のほぼ真ん中だったので、最も見たかったそのシーンもはっきりと目に焼き付けることができた。

佐野は言う。
「35(周年)とか60(年齢)なんて、ただの数字じゃないか」と。
クールに見えても楽しむことに躊躇しないエンターテイナー性、ありのままをさらけ出すシャウト、無邪気なまでのパフォーマンス、ステージにはデビューした当時と何ら変わることのない佐野元春がいた。気心の知れた、抜群の演奏力とグルーヴを持つバンドと共に。
「ただの数字じゃないか」という言葉は、そんな彼がちょっと照れたよう笑顔で話すとき、強がりや気取りのない説得力を帯びていた。
この誠実さこそが佐野元春の魅力であり、多くのファンを惹き付けてやまない要素なのだろう。
もちろん、この自分もそのうちの一人なのだ。
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棚から1枚~”DEBUT AGAIN” 2016/04/05

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“DEBUT AGAIN”
大滝詠一
(Niagara / SME)

Disc One
01 熱き心に
02 うれしい予感
03 快盗ルビイ
04 星空のサーカス
05 Tシャツに口紅
06 探偵物語
07 すこしだけやさしく
08 夏のリビエラ
09 風立ちぬ
10 夢で逢えたら[ストリングス・ミックス]
Disc Two
01 私の天竺
02 陽気に行こうぜ~恋にしびれて[2015 村松2世登場! version]
03 Tall Tall Trees ~Nothing Can Stop Me
04 針切じいさんのロケン・ロール

待ちに待った大滝詠一の新譜は、彼が他のシンガーに提供した曲の「本人歌唱集」となりました。
“SNOW TIME”での『冬のリヴィエラ』、”BEST ALWAYS”での『夢で逢えたら』など、本人歌唱バージョンの存在が噂されていたトラックを小出しにしてきたことはあっても、まさかこのような形でまとめて聴けるとは思っていませんでした。
トラック毎に音場や音圧のばらつきがあるのは、録音時期や目的が異なるものを集めているので致し方ありません。
と言うか、そんなことは全く気にならないくらい、ただひたすらに素敵なメロディと声に聴き惚れてしまいます。
『さらばシベリア鉄道』や『フィヨルドの少女』と並べても遜色ない雄大さを描く01、優しいお父さんが子どものために歌っているような02、遊び心いっぱいの歌詞が楽しい03、04と05ではアメリカンポップスのエッセンスが散りばめられ、『雨のウエンズデイ』や『銀色のジェット』を彷彿させるマイナー調の06、切なくもガーリーな歌詞がアイドルものらしい07、既出ながら色褪せない08、貴重なライブ音源からの09、そして涙なくしては聴けない10。
どれをとっても「これが聴きたかった!」と感激するものばかり。
素直に嬉しいし、シンガー大滝詠一の魅力を味わうことができてとても幸せです。

私的評価=★★★★★

Papa’s Got A Brand New Bag 2016/03/30

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先日カメラを首から提げて外出したら、同行者に「カッコ悪い」と言われてしまい、確かに観光客然として見えるかもしれないし、ブラブラ邪魔なのも気になってはいました。
これまではボディバッグをカメラ用に使っていたのですが、そろそろ飽きてきたし、気分を変えるのもいいかなという頃合いでした。
カメラ用というわけではなく、財布やスマートフォン、タバコなどいつも持ち歩く物を入れるための小さなバッグ。
あれこれ探して選んだのはポーターのサコッシュ。
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ちょうどA4サイズくらいで、ショルダーストラップが付いています。
マチがないので容量は大したことありません。
パンケーキを付けたカメラくらいなら十分だし、先述の小物類程度なら余裕があります。
ストラップは短めに、たすき掛けでバッグ本体が肘の辺りに来るのがオシャレかな。

アニー・リーボヴィッツ “WOMEN: NEW PORTRAITS” 2016/03/29

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アニー・リーボヴィッツと聞いてピンとくる方は、そう多くないかもしれません。
彼女はアメリカの写真家で、政治家や芸能人、アスリート、市井の人びとなど幅広く被写体にする、主にポートレイトで著名な方です。
音楽ファンなら、例えばこんな写真を見たことがあるかも。
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何を隠そう自分も音楽関係の写真を通して、アニー・リーボヴィッツという名前を知った口です。
その彼女がこの度、世界10都市限定の最新作品展を開くと聞き、東京は東雲のギャラリーへと足を運びました。image

大きな倉庫か工場のような建物がギャラリーとして使われており、内部もコンクリートや配管が剥き出しだったりして、それ自体がかなりアートな雰囲気です。

今回は”WOMEN”とタイトルにあるように、さまざまな職業や立場の女性のポートレイトが集められていました。
ヨーコ・オノ、アデル、マララ・ユスフザイ、テイラー・スウィフト、 ブルース・ジェンナー、アウン・サン・スーチー、アニーの母上など、プリント以外にも大型のモニターでの展示もあり、決して広い会場とは言えないものの、全てを鑑賞するにはそれなりの時間がかかりました。
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彼女のカメラに向けられる被写体の目には信頼もあれば緊張もあり、もちろん穏やかで微笑ましい表情も見られ、単にジャーナリスティックだったり、アーティスティックなイメージばかりではない多様性を感じました。

もしまた機会があれば、ぜひ訪ねてみようと思います。