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棚から1枚~”HELP!” 2013/03/09

Posted by Master in Music Book.
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“HELP! (2009 Stereo Remaster)”
The Beatles
(Parlophone)
01 Help!
02 The Night Before
03 You’ve Got To Hide Your Love Away
04 I Need You
05 Another Girl
06 You’re Going To Lose That Girl
07 Ticket To Ride
08 Act Naturally
09 It’s Only Love
10 You Like Me Too Much
11 Tell Me What You See
12 I’ve Just Seen A Face
13 Yesterday
14 Dizzy Miss Lizzy

ビートルズのリマスター盤感想記も5回目となりました。
前回”BEATLES FOR SALE”までは初版モノCDとステレオ・リマスターとの比較だったので、初版ステレオとリマスター・ステレオとの聴き比べになる今回からこそが、より正確な意味での比較になると言えると思います。

この”HELP!”を製作・発表した当時1965年はアイドル人気の真っ只中にあり、それゆえの苦悩に苛まれていた時期と思われます。
メンバーの中でも特にナーバスになっていたのはジョンのようで、前作でチラ見せしていた内省的な一面がここではもっとストレートな形で表面化しています。
と同時に創作面でも徐々に勢いが下降し始め、ポールに追いつかれるのは時間の問題といった感じで、期待とない交ぜになった焦りもあったのだろうなと想像できる時期でもあります。
実際に次作”RUBBER SOUL”はポールとジョンが完全に肩を並べたアルバムになり、次々作”REVOLVER”以降は解散まで、創作面でもバンドとしての意思決定の面でもポールがイニシアティブをとることになります。

アルバム製作の背景はこのくらいにして、リマスター盤の感想を。
比較対象とするのは1965年のステレオLP盤ではなく、ジョージ・マーティンによる1987年のリミックスCDです(念のため)。
まず感じるのは音圧が上がっているのと、初版では中域がダンゴ状態になっていたイコライジングが、リマスターではドンシャリ気味になってヴォーカルがくっきりとしたこと。
それと曲によってエコーやリバーブが深くなっていること(02、10など)。
ギター、特にアコギが強調されています(04、08など)。
12は右チャンネルのパーカッションがよりはっきり聞き取れるようになったので、スピード感が増して聞こえます。
ハッとしたのは07。イントロのギターを始めとするピッキング・アタックが強くなり、元来ヘビーなボトム・セクションと相まってラウド感溢れるロック・ナンバーに生まれ変わったかのような印象です。
弦楽四重奏をフィーチャーした”Yesterday”でさえ、繊細さよりもパワフルさをかもし出していますし。

全体を通して聴いてみて強く感じたのは「このアルバムってこんなにも「ロックしている」アルバムだったっけ!?」ということ。
これ以前の4枚が初版に比べてお行儀のいい感じだったのが、ここに至って印象をがらりと変えるリマスターになっていたのにちょっと驚きました。
「初版とは大差ない印象」との意見も多いようですが、個人的にはかなり印象が違って聞こえましたね。
私的評価=★★★★

ところで、今回あらためて初版CD(US盤)を見ていたら14が”Dizzy Miss Lizzie”とプリントされているのに気付きました(ブックレットもレーベルも)。
単なるミスプリ?
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